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2013年11月14日木曜日

生徒会事情

生徒会、というのはどこの学校にもあるものですが、実はその様態は様々です。また、教科指導などの研究に比べ、生徒会については、いくつかの事例紹介や言説研究(生徒会についてどのようなことが言われてきたか、生徒会の歴史を追うことで<生徒=こども>がどのように語られてきたか)は見られますが、それほど研究が進んでいないようです。

月刊ホームルームの2010年8月号ではそれぞれの生徒会事情が特集されました。
冒頭で、昭和61年度(11校、1,575名)と平成20年度(8校、1589名)で生徒全体に行ったアンケートの結果比較がされています。平成20年度に実施した学校のタイプが、「総合学科」「単位制」など「新しいタイプ」の学校が大半であるため、純粋な比較はできませんが、意識の変化を知るうえで貴重な資料です。

寄稿された方は、「いずれの年度も生徒会活動に関心のある生徒がそれなりの割合で存在する(15%→26%)」「リーダーになる生徒への働きかけや啓発が必要」「行事を有効に活用することが重要」などの知見を見出しています。

私がデータを見て関心を持ったのは、「役員選出の時、立候補者の演説を聞いて投票するか」という設問に対して「よく聞いて投票する」と答えた割合が13%→30%と増えていること。また、「あなたは生徒会活動に対して、何の期待をしますか?」という設問に対して、「学校の規則や生徒会会則の改善をする」と答えた割合が19%→33%と増えた点です。

これは、アンケート実施校の性質も影響しているのでしょうが、生徒会が教師のお神輿ではなく、実際に学校の有り様を積極的に変える存在となっている可能性を示すデータだと思いました。

ロジャー・ハートは「参画のはしご」という言葉を使って、参画における8つのステップを示しています。
その内、「1.操り参画」「2.お飾り参画」「3.形式的参画」は、参画には当たらないとし、「4.与えられた役割の内容を認識した上での参画」「5.大人主導で子どもの意見提供ある参画」「6.大人主導で意思決定に子どもも参画」「7.子ども主導の活動」「8.子ども主導の活動に大人も巻き込む」という状態を目指す必要があると言います。

今、自校の生徒会がどのステップにあり、どのような段階まで登ることができるのか。そのためには、生徒会に対するチームコーチングなど、意識的な働きかけと、そのための生徒・教師の物理的精神的余裕、失敗を許容する学校文化が必要なのだと思います。

http://www.amazon.co.jp/月刊-ホームルーム-2010年-08月号-雑誌/dp/B003SFU4X2/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1367458314&sr=8-1&keywords=月刊ホームルーム+2010+8

生徒を学ぶ意欲を引き出す教師の力

2007年2月の月刊ホームルームの特集「生徒の学ぶ意欲を引き出す教師の力」

【フロウ体験】
生徒の学ぶ意欲を考える上で知っておくと良い言葉として、フロウ体験という言葉があります。ためしにパソコンで打って見て頂くと、なかなか興味深い漢字に変換してくれる言葉です。
これは、端的に言えば無我夢中になりその課題に没頭する状態です。学ぶ意欲にひきつけて言えば、「課題の難度と生徒の能力の組み合わせによって生徒が感じる「不安」と「退屈」が、バランスのとれている場合に生じる体験」と説明されています(p.8)。

「ちょうどよい課題の設定」、これは教師のわざの中でもかなり高度な部類に入るのではないでしょうか。これを行うためには、まず体系的かつ深い教材理解が必要となることに加え、生徒個々の理解度のみならず、その性格までも把握しておくことが必要とされます。その上で、生徒に「入る」角度での質問や課題設定をする技術が要求されます
習熟度別授業であれば、ある程度クラスのレベルに応じた課題を設定されている先生は多いでしょう。クラスのバラつきが大きい場合は、ある程度できる生徒、あまりできない生徒、部活などで時間がとれない生徒、と大きく3段階くらいに分けて課題を設定されている先生もいらっしゃいました。

【授業を振り返るための3つの質問】
また、これは教科会や学年会、もしくは今夏の研修会などでこうしたことを考える機会を設けるとよいと思う記事もありました。「博士の愛した数式」という映画から始まるこの記事は、自分の授業を考え直すために3つの質問を設けています(p.16)。

1.先生の実践を一つだけ聞きたい、と言われたらどの授業の話をしてくれますか?
2.先生の教え子たちに、「○○先生の授業で、いい意味で印象に残っている授業は何ですか?」と聞いたら、生徒は何と答えると思いますか?
3.退職を迎えたとき、最後の授業としてどんな授業をしたいですか?

これら質問は、自分の授業を意識化する上で面白い質問だと思います。もちろん、日常の授業において、映画にでてくるような授業を毎回行うことは現実的ではないでしょう。ただ、一年を振り返った時、こうした質問に答えられる授業を意識的に作ってみようと考えることは、授業の質を高める上で効果的ではないかと思います。

【家庭学習】
最後に、4月中に習慣化しておきたいことが「家庭学習の記録」という冊子づくりとその定着です。
家庭学習に関する記録を取っている学校は増えていますが、ここではそのポイントを確認しておきましょう(pp.18-19)。

一つ目は、冊子にするということです。プリントなどではなく、冊子とすることで「積み重ねの実感」を喚起できます。こうした物理的な仕掛けが意外に重要だったりします。
二つ目は、簡単に記録できるということです。教科別の家庭学習時間数に加えて、課外出席科目や起床・帰宅・就寝時間、読書・テレビ・娯楽時間などフォーマットを作っておき数字のみを記録させることで、記録もチェックも簡便になります。なお、ここには生徒と担任がコメントを書ける欄も設けておく必要があります。
三つ目は、フィードバックの仕方です。例えば、部活に忙しく勉強時間が少ない生徒にはどうコメントを返せばよいでしょうか。記事では、実際にその生徒の練習風景を観察したうえでコメントを返していました。つまり、「家庭学習をすることが難しい事情を、時間をとって直接に見ているよ」ということを示したうえでコメントしています。また、急に勉強時間数が減った生徒には、「どうですか最近?」と気にかけていることを示すコメントを返しています。

最後に、「生徒が寝られない裏ワザ100連発」(pp.44-46)というものありました。「お笑い系5」「声や音での刺激系9」「体への刺激系13」「気分転換系13」「ペナルティ系7」「ごほうび系2」「あきらめ系4」と実際には53個しかありませんが、ブレーンストーミングのようにしてこうしたアイディアを出し合っていくと言う機会を設けてもよいかもしれませんね。

http://www.amazon.co.jp/月刊-ホームルーム-2007年-02月号-雑誌/dp/B000LXS5O4/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1366598386&sr=8-1&keywords=月刊ホームルーム+2007年2月

大学 学びのことはじめ

「大学 学びのことはじめ 初年次セミナーワークブック」です。

オフィスアワーの研究室訪問の仕方やノートの取り方(中高までの板書を書き写すことを中心とするノートづくりとどう違うのかがポイントです。)といった、学生の基本的スキルも役立ちますが、一番はリサーチスキルを紹介している箇所だと思います。
テーマの設定方法から情報活用の方法は、基本的なことですが、実は社会人の基本的スキルでもあると思うためです。

相手、例えば就職面接の採用担当者や商談先、にとって既知であることを示しつつ、そこに異なる視点や情報を入れることで驚きを与える。これが、相手に「しっかりと準備し、こちらを理解しようとする努力をし、かつ論理性や視点に評価すべきものがある」と感じさせる上で必要なスキルなのだと思います。
これを、相手との状況に応じた会話の中で行っていく、というスキルも必要なのだと思いますが、いずれにせよ、実は大学の授業で必要とされるこうしたスキルが、社会人になっても必要とされるのではないかと思います。

少し、話が就職活動の方に行きすぎましたが、大学一回生、一回生を担当する大学関係者、大学へ送り出す高校の先生方にとっても面白い一冊だと思います。

http://www.amazon.co.jp/大学-学びのことはじめ―初年次セミナーワークブック-佐藤-智明/dp/477950516X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1365390104&sr=8-1&keywords=大学 学びのことはじめ

担任学

ありそうで中々ないのが「担任学」ではないでしょうか。
教職課程の中にこうした科目を見つけることは難しく、
「実地で学べ」という感じになっています。

教育実習で見るのは、沖縄への修学旅行に例えればビーチを見ただけで、担任という業務に関わる中で本当に学んでおかなければいけないことは教職についてから、ということになります。

しかし、初任者として行った学校で、担任として必要なことを学べる環境があるとは限りません。担任として成長するためには、
体系知とメンター、学習する組織風土、時間を含めた物的環境が必要となると思います。これらが整備されるには、今日の学校現場は忙しすぎます。中には、中堅の先生が居ないので、とにかく一年目から担任を任される、というケースも少なくありません。

そうした中で、当初の予定どおりには動かない子どもや、保護者の過大な要求に心身ともに疲れてしまい、そうした状況に追いやった先輩や学校を愚痴りつつ、すねてしまう新任の先生もいらっしゃるかもしれません。

「教師の専門性を高める担任学」という本では、アメリカのカーネギー財団のもとで組織された「全米教職員専門基準委員会」が発表した「教職専門性の基準大綱」が紹介されています(pp.48-49)。
これは、1983年に発表された「危機に立つ国家」を機としたトップダウンの教育改革を第一の波とすれば、それに応答するボトムアップの第二の波と言われます。
この大綱では、
命題1 教師は、生徒たちと彼らの学習を委託されている。
命題2 教師は教科内容と教科の教育方法を知っている。
命題3 教師は生徒の学習の経営と助言に責任を負っている。
命題4 教師は自身の実践を系統的に思案し経験から学ぶ
命題5 教師は学習共同体のメンバーである。
ということが示されています。

もし、「担任学」が教育現場でしか学べないものであるとすれば、命題4と命題5で示されているように、体験からいかに学ぶかということがもっと重視される必要があるのではないでしょうか。
そのための取り組みの一つが、この本の半分を占める教育実践記録を書くということでしょう。新年度を迎えるに当たり、これまでの一年の実践を振り返り書く。
この「書く」という行為が、「実践の中の知」を意識化するのだと思います。そして、言語化された実践を資源として、学習共同体における学びが促進されるのだと思います。

「担任力をどのように高めるか」について、色々な学校での取り組みを伺いたいですね。

http://www.amazon.co.jp/教師の専門性を高める担任学-教師教育学シリーズ-唐沢-勇/dp/4761904364/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1365040899&sr=8-1&keywords=教師の専門性を高める担任学

教室ファシリテーション 10のアイテム

あなたは結婚式に参加したいですか?それともお葬式に参加したいですか?、といういささか不謹慎なたとえ話から始まる本があります。
実は、これは授業のたとえ話です。
結婚式は、たとえ義理で出席したとしても、円卓を囲んで談笑できます。一方で、お葬式はただじっとしていなければなりません。このお葬式が一斉授業だというのです。

筆者は自身の失敗体験をもとに、関わり合いの中から生徒が学ぶ手法について紹介していきます。

例えば、お互いの話をしっかり聴くペア・インタビューは、お互いが「聴いたら聴いてもらえる」という信頼関係を築き、かつ見知らぬ相手のことをよく知ることができる、知ってもらえるという点で、年度当初に適した活動であると言います。

また、ディスカッションのセッションでは、「決めることが優先され、そのプロセスがないがしろにされる」ことを避けるために、まずペアでディスカッションをするのが良い、と助言します。

また、参加者のネットワークを築きつつ、場の一体感を高める効果のある「ワールド・カフェ」というやり方も紹介されています。

新年度に担任をされる先生であれば、ちょっとやってみようかなというヒントの得られる一冊です。

http://www.amazon.co.jp/教室ファシリテーション-10のアイテム・100のステップ―授業への参加意欲が劇的に高まる110のメソッド-堀-裕嗣/dp/4761918845/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1364279925&sr=8-1

学級経営 10の原理

堀裕嗣「学級経営10の原理 100の原則」

冒頭の「非凡な教師は、平凡なことを徹底し、その上で非凡なことに取り組んでいる」
若手教師だけでなく、「若さで乗り切ることに限界を感じ始めている中堅教師に、生徒がわからなくなったと嘆いているベテラン教師に」も向けて書かれているということで期待して読み始めたのですが、「原理」というだけあって、あまり驚きはありませんでした。

おそらく、こうした「原理」を徹底して身体化し、どのような状況であっても対応できるようになることが必要なのであり、その対応の過程に、その先生の生きてきた過程、すなわち個性が発揮されるのだと思います。

原理はあくまで原理であり、原理を知ることや法則化することは理解を助けはしますが、マニュアル化とは異なります。
教育をサービスと捉えることには語弊が生じますが、生産と消費が同時に行われる産業形態をサービスと理解すれば、マニュアルを踏まえたうえで、瞬時に適した対応ができる能力が必要になるのでしょう。それは、マニュアルでは書ききれません。

しかし、その個々の対応が組織として一定の方向に向いていることも重要になります。それを束ねる価値観をクレド(信条)としてまとめたり、ビジョンを構築し共有する場を持ったりすることも必要になるのでしょう。

加えて、教育という営みであることを考えますと、その対応が将来的にどのような影響を及ぼすのかという見通しや、他の児童生徒にどのような影響を及ぼすのかという広い視野が必要とされます。そこに、「経験」の価値が生まれるのだと思いますが、この「経験」は「省察」という作業をもって、糠床を毎日こねるように日々「学び」につなげなければ使えないものなのでしょう。


より具体的な手法が知りたい、ということであれば、同じ著者による「教室ファシリテーション 10のアイテム 100のステップ」が参考になりそうですので、またご紹介できればと思います。

【学級をマネジメントする10の原理】
・一時一事
・全体指導
・具体作業
・定着確認
・具体描写
・時間指定
・即時対応
・素行評価
・一貫指導
・同一歩調

http://www.amazon.co.jp/学級経営10の原理・100の原則―困難な毎日を乗り切る110のメソッド-堀-裕嗣/dp/476191808X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1362620678&sr=8-1

生徒会コーチング

先週、生徒会を対象としたセッションの打ち合わせにある女子校に伺いました。
これは、関西でチームコーチングという手法を勉強されている方が、ボランティアで実施いただくというもので、通常は上場企業や大学職員、プロ野球チームなどで実施されています。

話を聞いていただいた先生は30代の先生で、来年に生徒部の部長になるということです。中高合わせて30人ほどの生徒会が活性化する上でとてもよさそうだということで前向きに検討いただきました。
最初に2日間のセッションを行い、「自分達に求められていることは何か」「生徒会のビジョンは何か」を話し合い、「現状はどうか」を確認することでモチベーションを高めます。
そのあと、1ヶ月ほどしてから進捗状況を確認し、またその後1ヶ月ほどして状況を確認し、チームとしての動きを作っていきます。

放課後補習でなかなか時間がとれないなど障害はありそうですが、学校として一つ上のステージに上がるためには必要となる取組だと思いますので、ぜひ実現いただければと思います。