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2013年11月14日木曜日

自分たちは何者か

担任研修の3回目をある学校で行ってきました。
5月に集中研修でコミュニケーションスキルやリーダーシップ・モチベーションに関する理論を学び、「最高のクラス」とは何かを考えていただき、学級経営に関する計画を作っていただいていました。
3回目は、その計画をもとに行ってきたこと/行えなかったことを振り返り、そこから学んだことを次に生かすという回です。

最初のマインドセットとして行っていただいたセッションが「私たちは誰か」という話し合い。
朝一番にも関わらず、一気に話し合いが過熱していきます。

前回作成した「最高のクラス=おにぎり=形は似ているが中身は一つ一つ違う」の定義を生かして、「私たちはおにぎりメーカーである」と定義するグループもあれば、「我々はどこから来て我々はどこに行くのか。そして、われわれは何者なのか」と哲学的な問いを深めていくグループもあります。この大きな問いにどのようにアプローチしていけばいいか、と考えるグループもあります。

また、夏に独学したマインドマップを使って、「私たちは【学校名】レンジャー」である、と戦隊ヒーロー/ヒロインに例え、情熱の赤、時に悪者の黒、冷静さの青、時に馬鹿になれる黄、愛情のピンク、と定義したグループもありました。

どのグループにも共通していたのは、「自分達は何者か」という問いを真剣に受け止めていた点でした。こうした先生のいる学校は、素晴らしい学校だと思います。

進路学習プログラムが定着するまで

ご縁があり首都圏にある中高一貫の女子校で、進路指導に関するお話を伺う機会に恵まれました。
その学校に関心を持った理由は、ホームページを拝見した際、進路学習プログラムのページが別にあったことです。
進路指導について書かれていない学校はないのですが、別のページにしているそのプログラムの内容はどのようなものか、という興味が湧きました。

明るい色のフローリングに吹き抜けからの光が差し込む、開放感のある校舎です。

現在の進路学習プログラムは中学3年から高校3年までを対象にしています。
今後、中学生から連続したプログラムにされる予定です。
中学3年では「働く」ということを考え、高校では関心のある分野別にクラスを超えたグループ学習を行う中で進路について考えるプログラムとなっています。

●なぜ進路学習プログラムを始めたのか
このプログラムの始められたA先生は、過去に担任をする中で、大学受験間際になって志望校を決めた生徒がいたことを話してくれました。
しかし、その生徒は、経済学部と商学部の違いなど事前に十分に調べることがなかったため、大学入学後に悩んだと言います。
そこで、まずA先生のクラスで一緒に本を読んだり、勉強会を開いたり、大学の先生を読んだりとする活動を始めたそうです。
当時の学年主任が、「失敗したら自分が責任をとるから」という後押しをしてくれたことにも感謝しているということでした。

●どのようにプログラムが定着したのか
A先生はこのプログラムを他の学年にも紹介していきます。
最初は、「こうした取り組みをしていますので、協力させてください。」という形で関わっていきます。
そうして成果を示すデータを集めていき、全体に広げていきます。
こうした地道な活動を続けることで、卒業生の多くが附属の大学に進んでいた時期を経験している年配教員との意識のズレや、「これをやって受験にどれだけ効果ある」という声、また「校務的にも負担である」という意見を克服していきます。

●どのようなプログラムなのか
こうして定着しはじめたプログラムは次のような流れとなっています。
まず、中学3年生ではベネッセの進路サポートの教材を用いて、夏休みにインタビューしたり、進路研究をします。また、卒業生や保護者の話をもとに、「働く」ということの苦労や喜びを感じ取り、これをレポートにします。

高校1年生の宿泊オリエンテーションで「進路を考えるとは」をテーマに考えます。
この時、夏のオープンキャンパス見学に関する宿題があります。
翌月には、その年に大学生になったばかりの卒業生やその保護者の話を聞く機会が設けられます。
進路の在り方や受験に関する話を聞き、夏休みに入る前に夏休み後のグループ学習に関するアンケートを取ります。
生徒は夏休み中にオープンスクールを見学し、レポートを書きます。

2学期から行うグループ学習では、夏休み前のアンケートに基づき、クラスの枠を超えて国際関係や医療・看護、工学・科学などのグループに分かれ、一緒に本を読むなどの勉強会を行います。ロングホームルームの時間などを8コマを使います。
各グループには学年の先生がそれぞれつきます。

さらに、成績推移にみる大学進学実績や大学入試の実務的な情報が掲載された「進学ハンドブック」の発行や大学模擬講義が続きます。
部外秘の教師用資料では、それぞれの場面で教師が使える資料やフォーマットが実に細かにまとめられており、誰もが一定水準の指導ができるようになっています。

生徒はこうした進路学習プログラムを経て、高2で教科選択を行い、さらに絞り込んだプログラムに入り、高3になると具体的な小論文対策や出願大学対策に移ります。

●プログラムの背景にあるルーブリック(段階的・領域別の生徒育成目標)
こうしたグループでの進路学習は、福岡県立城南高校のドリカムの事例にもありますように、生徒の進路意識を高める効果があります。
ただ、今回のお話では、生徒のグループ学習が学年教師間の協働の機会になっていること、一人の先生の熱意と地道な努力が学校全体を変え一つのものを創りだしたこと、という点が印象的でした。

その協働の発端となったのが、各学年で到達すべき「学ぶ力」を示すルーブリック作りです。
中1、中2と学年が縦に並び、「学び」「キャリア」「進路」が横に並んだ表には、各学年で目指すべき生徒の状態が記載されています。
それは、数年前に学校調査を行い学校全体の見直しが図られた際に、中心的課題として「応用力」が挙げられ、その養成部会が結成されたことに端を発します。
中3、高3でどこまでもっていくかという育成計画を、学力だけでなく討議した結果がこのルーブリックとなりました。
このルーブリックがあるからこそ、進路学習プログラムを学校全体で進めることができ、またそのプログラムを評価し修正することができるということでした。

●感想
お話を伺ったA先生は、世界史という学問を通じて物事を批判的に見つつ、一歩一歩事実を構築していくというスタイルを持っていらっしゃるという印象でした。
その特性を生かし、「どのような生徒を育成したいのか」「そのためにどのようにすれば良いのか」をロジカルに考えるだけでなく、
様々な人に粘り強くかかわり続けながら、一つのプログラムを作っていかれました。形だけでなく、そうしたプロセスを経たプログラムだからこそ、
ホームページのテキストから何か伝わるものを感じたような気がします。ありがとうございました。

感動の連鎖

以前から何度かご紹介させていただいているA先生にお会いしました。九州のキリスト教系の中高一貫校で学校調査をさせていただいた際、ある先生のクラスだけ飛びぬけて満足度が高くでていました。そのクラスの担任がA先生でした。

以前に弊社代表が伺った話からは、チーム学習や承認がそのポイントであることがわかりました。しかし、伝聞には限界があります。直接お会いしたく、機会をとらえて伺うことができました。

A先生は世界各地を旅して、そこでの出会いを通じて大きな感動と感謝を感じられたことを話してくれました。国連にはノーマン・ロックウェルの描いたモザイク画が飾られています。それは、「あなたの欲するところを人に施せ」という黄金律の銘とともに、様々な人種や民族、宗教が描かれています。
A先生がアメリカに留学した際、アフリカ人の留学生と出会いました。国の将来がかかっているため、死にもの狂いで勉強していたそうです。その姿に出会ったとき、そうした人を支援するアメリカをすごいと思うとともに、「本気に触れれば人は変わる」という思いを抱いたそうです。

帰国後、担任をしたクラスではホームルームを全部英語でしたそうです。「俺が一生懸命話しているのだから、一生懸命聞け。」と言ったそうです。そして、「自分には慶應大学は無理だ。」という生徒に、「黙れ!自分の可能性を狭めるな。」と迫ったそうです。「可能性は本気に触れれば変わる。」 そのクラスからは、当時の学校としては早慶現役合格など異例の進学実績がでて、ある生徒は慶應大学を卒業後に共同通信で働いているそうです。

また、別の年には京都大学法学部に進み総務省に入った生徒もいました。そのクラスでは放課後にグループ学習をしていたということです。それぞれの生徒が得意なことを教え合う。「友達のためにやるとうれしかろうが。」「人間のレベルで比較したらその他大勢で終わる。もっと大きなものを心にもて。そうすれば自ずと謙虚になる。」と、生徒に言っていました。友達から「必要とされている」、そうした思いがより学習意欲を喚起するそうです。特に英語、古文漢文、数学で成績が伸びたと言います。このクラスでは3分の2が現役で国公立大学に入り、一人を除き英検2級に合格したそうです。

「人はあったかいものに突き動かされる。暖かみ、これを出せる人であり続けたい。」と話すA先生について、生徒は卒業文集で厳しさと感謝を伝えています。その中には、先輩が後輩にA先生の生徒としての心構えを伝えたり、励ましたりする場面もあります。先輩がこうしたことを伝えることも、A先生と過ごす中で多くの感動体験をしたためだと思います。

「感動の連鎖」、A先生とのお話で心に残った言葉です。

猿橋勝子という生き方

水爆実験の被害を受けた第五福竜丸事件について、健康被害には関係ないというアメリカの主張に対して、卓越した微量分析の方法をもってこの主張を覆した立役者です。
分析化学の世界的権威であったフォルサム博士と、先方のホームグランドであるアメリカで分析競争を行い、見事自分たちの分析方法の正しさを証明し、ビキニ実験による放射能汚染の影響があることを認めさせるにいたりました。

その師匠である三宅先生の言葉「科学者は、同時に哲学者でなければならない」という言葉を後進の女性科学者たちに伝え続けたということです。

志の強さと正しさが仕事の質を決める、ということに気づかせてくれる一冊でした。

http://www.amazon.co.jp/猿橋勝子という生き方-岩波科学ライブラリー-米沢-富美子/dp/4000074970/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1378701105&sr=8-1&keywords=猿橋勝子

キャリア教育のウソ

「キャリア教育のウソ」という本が目に留まり、さっそく買ってみました。
主な内容は、これまでのように「やりたいことを見つける」「それにあった職業を探す」「その職業につくために頑張ろう」という流れを前提とするキャリア教育の考え方の見直しです。

たしかに、そんなうまいことはいかないということは誰しも思っているところで、筆者もいうように「自分の適性と職業さがしを同時並行で関連づけながら進める」「職業を絞るのではなくいろいろと興味をもつ」という方向性で進める、ということはずいぶんと前から言われてきたことだと思います。
筆者の指摘にもあるように、消費文化に適合的なコンサマトリー(消費志向)な価値観は「今が良ければよい」という考えを導くため、「将来に向けてコツコツと積み上げていく」という学校文化をつくるためにも、こうしたキャリア教育が推奨されてきたのだと思います。

職業体験、特に中学校での実施は、体験を通じての学びや動機づけが目的とされますが、地元の商店街での体験を通じてキャリア形成するというのは無理があります。
本来は、高校や大学を卒業して3から5年後、10年後の学習支援体制があるかというところが大事なんでしょう。それこそ、これまで企業が担っていた教育なのでしょうが。

職業体験やキャリア教育を通じて意識すべきなのは、自分の価値観なのでしょう。それが、キャリアアンカーの土台をつくるのだと思います。そういう観点で職業体験を考えれば、事前事後の指導についてこんなことが考えられるかもしれません。

まず、事前指導として、体験先に応募するためのエントリーシートを書きます。ここで、自分がこれまでにどのようなことをしてきたのか、そこから何を学んだのか、なぜその体験先に行きたいのかという自分の体験の整理と方向づけをする機会を設けます。
そして、事後指導として「自分は体験先でどのような貢献をチームやお店にできたのか」「自分はどのような仕事が好きなのか/嫌いなのか」を省察します。

本書で、現在学校でも取り組める建設的な意見としては、

「キャリア教育を学習指導・生徒指導・進路指導の土台とする。中でも家庭科をキャリア教育上、重要な教科と位置づける」

「それぞれのライフステージで起こる問題や課題、仕事と生活をどう両立させ折り合いをつけるのかを考える」

「構造的に非正規社員が一定数生み出され、高校生の8割が非正規になるかもしれないと思っていることを考えるのであれば、丸裸で社会に出すのでなく、骨太の労働法を学んでおくことや、将来迷ったとき、困ったときに相談できる仲間を作っておく」

という点かな、と思います。

http://www.amazon.co.jp/キャリア教育のウソ-ちくまプリマー新書-児美川-孝一郎/dp/4480688994/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1374726557&sr=8-1&keywords=キャリア教育のうそ

君が舞台に立っていると考えてごらん。

先週、キャリアカウンセラーの勉強会がありました。キャリアカウンセリング理論の洋書を読んで意見交換するという勉強会で、社会構築主義的アプローチがテーマです。

社会構築主義というと難しいですが、社会で起こることや意味は人々の意識や感情で作り上げられている、という視点で物事を見てみようという立場です。

ここ数回のテーマは、キャリアカウンセリングにおける「ナラティブ」(語り)の重要性ということでした。
これまでのキャリアカウンセリングは、どちらかというと直線的で、「こうなるためには、こうしないといけない」という論理を積み上げていくアプローチでした。

これは、最初のキャリアカウンセリング理論ができた時代が、まだ近代的産業構造を前提としていたためで、チャップリンのモダン・タイムズのように工業モデルが主流だったことも影響しているようです。ホランドの理論の、心理テストによる個人特性の把握と職業のマッチング、という考えもこうした時代に作られています。

しかし、その後、ハプニング理論(人生何が起こるかわかならい)というようなものがでてきたことからもわかるように、先の見えない時代におけるキャリアカウンセリング理論が求められるようになりました。

そこで、これまでのような「大きな物語」が期待できない中で、小さな集団や個人が依拠できるようなストーリーづくりが求められます。こうした流れの中で、「ナラティブ」(語り)が着目されました。

ごく簡単に言えば、個人の経験として散逸している「事実」を意味のあるつながりとしてまとめること、その過程で細かな「感情」の機微に目を向けることが重要とされます。

具体的には、
・「あなたの生き方のあらすじ(プロット)はどのようなものでしたか?」
・「家族や親しい人から渡された台本(スクリプト)はどのようなものですか?」
・「あなたの人生の次の章はどのようなタイトルになりますか?」
などの質問が挙げられていました。

実際に参加者同士でこうした質問をしてみますと、質問に「ストーリー」を喚起するような単語があるせいか、自分の経験を関連づけるよう意識が働くことが実感できました。

体験後、どのような場面で生かせるかを話し合いました。
難しいけど、できたら良いね、と話し合ったのが毎年の人事考課の面談の場面ということでした。
「もし、この一年の活動にタイトルをつけるとしたらどうなる?」という質問で始まる面談をする会社って面白いですよね。

私たちのように学校に関わる関係から言えば、担任と生徒の面談の場面で使うと面白い効果があると思います。中学生ではまだ難しいかもしれませんが、高校生に対してこんな質問を投げかけてみてはいかがですか。

「君が、ある演劇の舞台に立っていると考えてごらん。そして、今、第二幕のカーテンが開いたんだ。君は、どのような役割を演じているかな?その劇はどのようなタイトルなんだろう?」

いつもと違う質問をすることで、きっと生徒の別の顔も見えると思いますよ。

体罰と師弟関係

ドイツ哲学者オイゲン・ヘリゲルが、自身の鍛練を通じて日本武道の稽古に見る独自性を書いた「弓と禅」では、
「師の体現する『型』の模倣に全身を投げ入れることで、その世界観を体得する」ということが書かれています。
そのため、師のいうことは絶対視されます。

日本芸能における「わざ」の認知について研究した生田久美子は、「<わざ>から知る」の中で、フランスの文化人類学者マルセル・モースの研究で用いられた「威光模倣」という言葉を使って同様のことを説明しています。

音楽という世界を<身体>に着目して描いた岡田暁生監修の「ピアノを弾く身体」の中の第3章「鍵盤を『打つ』指」のように、なぜ「ハイフィンガー奏法」という技法が日本で浸透したのかを、上記のような日本の師弟関係から説明した面白い論考もあります。

つまり、「芸事を極める」という考え方が、「野球道」という考えにも影響し、「師は絶対」という部分だけが取り出された可能性も考えられるということです。


あるテレビ番組で、大阪体育大学での取り組みが放映されていました。インタビューでは、「強くなるなら体罰もしかたないという考え方は、自分のなかにある」と率直に認める学生の姿もありました。自分が体罰を受けた大学生ほど、体罰を肯定しやすいという調査もあります。
大阪体育大学では、学生同士に「どんなコーチになりたいか」という意見を交流するなかで、「コミュニケーション能力の重要性」に気づく「場」を作っている点が取り上げられていました。

概念を見直すことで方法論も変わる、ということなのだと思います。

余談ですが、「ドラゴン桜」の筆者が、高校野球を題材に連載している「砂の栄冠」は、監督のいうことはほどほどに、選手が時に功利冷徹に自分で考えてプレーする姿が書かれていて面白いです。別の作者の「ラストイニング」なども、選手が自分で考える、ということがテーマとされており、興味深いです。

http://hoshiboshi.blogspot.jp/2013/07/vol11-no11.html

中学生の職業体験とキャリアサイクル

先週、お世話になった旅館では、中学生の職業体験ということで、生徒さんがお茶を出してくれました。

キャリア教育は、
1.「なぜ働くのかという意義を考える」
2.「自分の関心を知る」
3.「関心に合う職業を知る」
4.「その職業に就いている人から話を聞く、体験する。」
5.「その職業に就くためにどのような手順を踏む必要があるか、どのような能力を高める必要があるのかを知る」
6.「5で挙げた手順や能力向上に努める」
7.「職業に就く」

という手順で設計されることが多いと思います。
1から7は循環します。

しかし、これは机上の空論、とまではいいませんが、
実際はこううまくいかないものだと思います。
特に、経験する前に「自分探し」の迷路から抜け出せない、
もしくは「自分のイメージしていたことと違う」と思い続けられない、ということが問題になっています。

では、どのようなことを伝えればよいか。
そんなことを、今回のネットレターでは考えています。
http://hoshiboshi.blogspot.jp/2013/06/vol11-no10.html

雨の日に水をやる子どもへの声がけ

有名な話なのでしょうか。
花壇係の教師が担任にお願いをしました。
「今日は雨が降っていますが、先日の雨の日、傘をさして学級花壇に水やりをしている子どもがいました。なんのために水をやるのかよく教えてほしいと思います。」

多くの教職員は失笑しながら「まったく、いまの子は」とあきれ、県の指導主事は「雨であっても教師の言うことにすなおに従う良い子ども達だ」と喜びました。

ところが、一年生を担任しているベテランの先生は、
「なぜ雨の日に水をやるのだろうか。」と感じ、雨の中、花壇にあげている子どもを見つけ、そっと近づいて聞いた。
「雨が降っているのにどうして水やりをしたの?」
「だって、先生。雨の水よりも、水道の水のほうがきれいなんだもの。きっと、きれいな花が咲くよ。」

子どもの行動を見たとき、まずはなぜそれをしたのかを聴いて、理解し、共感することが大事だという話です。

たくさんの本を書かれている家本芳郎さんですが、「<教育力>をみがく」は特に評価が高いようです。
その根本にある考え方は、以下のようなポイントにあると思われます。

・まず実態を調べる
・いくつかの方法を試し研究する
・指導目標は決めるが、方法は統一せず、それぞれの実践・研究を交流し、検証する
・こどもの自主性を育てる

初任者の先生で、まだ読まれていないという方がいらっしゃれば買って損のない本です。

http://www.amazon.co.jp/“教育力”をみがく-寺子屋新書-家本-芳郎/dp/4901330470/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1369361186&sr=8-1&keywords=教育力をみがく

おにぎり学級

担任研修のセッションに「こんな学級が最高」というテーマで行うグループワークがあります。どの学校でも盛り上がるセッションですが、今回の学校でも面白いグループがありました。

その中、1年生チームの「おにぎり学級」が目を引きました。「質実剛健」を教育理念にもち、生徒指導で評価されてきた学校だけに、「誰もが好き」「見た目は一緒」「でも、中身はそれぞれ違う」という「おにぎり」のコンセプトは、なるほどと思わせるものでした。
最初はバラバラの生徒達(米粒)を、教師という海苔が下からそっと包んでまとめる、そんなクラスを作りたいです、とお話されました。

どんなクラス、学年、学校になるか楽しみですね。

高校卒業論文

「探求、調査、言語化」の頭文字をとった独自の「調べ学習」をする中高一貫の女子校があります。
中学時代から体験活動を通じて十分な問題意識を育て、それを言語化し、論文にまとめます。こうした活動はいくつかの学校でもされていますが、この学校の生徒は問いの立て方が面白い。

「なぜタイにはニューハーフが多いのか」
「なぜ美術館の若者離れが進むのか」
「なぜ発展途上国の女性に肥満が多いのか」
「なぜハロウィンがアメリカで広まったのか」

女性、異文化、貧困など現代の重要な問題を捉え、かつそれを「なぜ」と、とてもクリアな問題設定がなされています。
論集に掲載された論文は、いずれも大学生の卒業論文の水準にあると言えます。これは、大学附属の女子校として、一つのモデルケースと呼べるのではないでしょうか。

授業アンケートを導入するにしても、こうした良い教育実践をより進化させること、こうした教育実践を通じて開発されたメソッドをより広く浸透させ、継承すること、を念頭においてされる必要があると感じました。

職業体験

大学では就職活動が活発化している時期ですが、中学校では夏の職業体験に向けた準備をそろそろしないといけないなぁと考える時期でもあります。

全国の公立中学校における職場体験学習の実施率は平成20年度には96.5%を超え、1日のみの実施は約14%、5日間実施している学校は20%に達しています。

しかし、これだけ普及している職場体験学習も、単なる恒例行事で済ましてしまう学校から、子どもたちの考え方ややる気に大きな影響を与える体験になる学校と、その質にはバラつきがあります。

なぜこうした違いがうまれるのでしょうか。職業体験をどのように学びにつなげればよいのでしょうか。

1つは、中学校のおける職業体験は必ずしも直接的なキャリア形成には結び付かない、ということを自覚することが必要だと思います。

中学校での職業体験は、地域との連携が名目に含まれることもあり、地元の商店街のお店などで体験することが多いです。そして、その体験の様子を先生がたが額に汗して写真にとり、それを見て保護者が我が子の成長をよろこぶ、という側面があります。

これはこれで大事なことなのですが、みんなが地元の商店街で働くわけではなく、外からみるとよく分からないような企業の事務系の仕事や、営業の仕事、企画の仕事などに就く生徒もいます。
では、職業体験はキャリア形成に影響がないのか、というとそうではないと思います。

2つ目に、体験から学ぶ方法の練習の機会や、そうした学びが生じるような設計が必要だと思います。

教室で文字を追う勉強ではなく、学校の外で失敗を含めて五感で学ぶ機会はそう多くはありません。そこには、教室で設計してもし尽せないダイナミックが気づきや学びが生じます。それは、実際に身体を社会にさらすことで生じる学びです。
ただし、こうした気づきや学びは、体験を振り返ることを通じて言語化できるものです。多くの学校でも、事前指導、事後指導をされていますが、5日間体験を行っているなら、毎日の振り返りを行うような設計が必要だと思います。

3つ目に、協同を通じて創造性を発揮させる機会が必要だと思います。

職業体験とは、人類学でいうところのフィールド調査にも通じます。つまり、自分の足で歩いて、体験して、現地の人には気づかないようなことまで解釈し、発見するという営みです。例えば、5日間の体験を通じて、その店に対してどのような提案ができるか、というところまで指導できると良いのだと思います。その好例が、以前にもここでご紹介した品川女子などでしょう。

実際には、受け入れ先との調整に追われて先生がたは大変だと思いますが、その苦労が生徒の学びに変わる様な取り組みにしたいですね。

http://www.amazon.co.jp/月刊-ホームルーム-2009年-12月号-雑誌/dp/B002SZ3MXC/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1367915727&sr=8-1&keywords=月刊ホームルーム 2009年12月

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たとえば家庭学習の習慣がどうすればつくか、ということを考えてみましょう。

生徒が起こした行動に対してどのような言葉がけをすると、
生徒がその行動を持続するか、より質を高めるか、を考えます。

たとえば、「何時間やれましたか?」とか、「どんなことに取り組んだのですか?」などです。

ここで、「何時間やったんだ!」と詰問したり、質問する側がある方向に誘導したいと何らかの意図を隠し切れずに「どんなことに取り組んだ?」と言ってしまうと、相手は「なんか手のひらで踊らされているようで腹が立つ」と思うかもしれません。あくまで、その質問に答えることで、相手が自分のためになると思うような問いかけを意識する必要があると思います。

たとえば、習慣というのはすぐに惰性に変わってしまいます。そこで、相手の行動を十分に承認してモチベーションを高めた上で、「何のためにやっているのか」「何を意識してやっているのか」「今の方法で欠けていることがあるとすればどこか」など行動の質を高める問いかけをすることなどもよいかもしれません。

http://hoshiboshi.blogspot.jp/2013/05/vol11-no9.html

生徒会事情

生徒会、というのはどこの学校にもあるものですが、実はその様態は様々です。また、教科指導などの研究に比べ、生徒会については、いくつかの事例紹介や言説研究(生徒会についてどのようなことが言われてきたか、生徒会の歴史を追うことで<生徒=こども>がどのように語られてきたか)は見られますが、それほど研究が進んでいないようです。

月刊ホームルームの2010年8月号ではそれぞれの生徒会事情が特集されました。
冒頭で、昭和61年度(11校、1,575名)と平成20年度(8校、1589名)で生徒全体に行ったアンケートの結果比較がされています。平成20年度に実施した学校のタイプが、「総合学科」「単位制」など「新しいタイプ」の学校が大半であるため、純粋な比較はできませんが、意識の変化を知るうえで貴重な資料です。

寄稿された方は、「いずれの年度も生徒会活動に関心のある生徒がそれなりの割合で存在する(15%→26%)」「リーダーになる生徒への働きかけや啓発が必要」「行事を有効に活用することが重要」などの知見を見出しています。

私がデータを見て関心を持ったのは、「役員選出の時、立候補者の演説を聞いて投票するか」という設問に対して「よく聞いて投票する」と答えた割合が13%→30%と増えていること。また、「あなたは生徒会活動に対して、何の期待をしますか?」という設問に対して、「学校の規則や生徒会会則の改善をする」と答えた割合が19%→33%と増えた点です。

これは、アンケート実施校の性質も影響しているのでしょうが、生徒会が教師のお神輿ではなく、実際に学校の有り様を積極的に変える存在となっている可能性を示すデータだと思いました。

ロジャー・ハートは「参画のはしご」という言葉を使って、参画における8つのステップを示しています。
その内、「1.操り参画」「2.お飾り参画」「3.形式的参画」は、参画には当たらないとし、「4.与えられた役割の内容を認識した上での参画」「5.大人主導で子どもの意見提供ある参画」「6.大人主導で意思決定に子どもも参画」「7.子ども主導の活動」「8.子ども主導の活動に大人も巻き込む」という状態を目指す必要があると言います。

今、自校の生徒会がどのステップにあり、どのような段階まで登ることができるのか。そのためには、生徒会に対するチームコーチングなど、意識的な働きかけと、そのための生徒・教師の物理的精神的余裕、失敗を許容する学校文化が必要なのだと思います。

http://www.amazon.co.jp/月刊-ホームルーム-2010年-08月号-雑誌/dp/B003SFU4X2/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1367458314&sr=8-1&keywords=月刊ホームルーム+2010+8

生徒を学ぶ意欲を引き出す教師の力

2007年2月の月刊ホームルームの特集「生徒の学ぶ意欲を引き出す教師の力」

【フロウ体験】
生徒の学ぶ意欲を考える上で知っておくと良い言葉として、フロウ体験という言葉があります。ためしにパソコンで打って見て頂くと、なかなか興味深い漢字に変換してくれる言葉です。
これは、端的に言えば無我夢中になりその課題に没頭する状態です。学ぶ意欲にひきつけて言えば、「課題の難度と生徒の能力の組み合わせによって生徒が感じる「不安」と「退屈」が、バランスのとれている場合に生じる体験」と説明されています(p.8)。

「ちょうどよい課題の設定」、これは教師のわざの中でもかなり高度な部類に入るのではないでしょうか。これを行うためには、まず体系的かつ深い教材理解が必要となることに加え、生徒個々の理解度のみならず、その性格までも把握しておくことが必要とされます。その上で、生徒に「入る」角度での質問や課題設定をする技術が要求されます
習熟度別授業であれば、ある程度クラスのレベルに応じた課題を設定されている先生は多いでしょう。クラスのバラつきが大きい場合は、ある程度できる生徒、あまりできない生徒、部活などで時間がとれない生徒、と大きく3段階くらいに分けて課題を設定されている先生もいらっしゃいました。

【授業を振り返るための3つの質問】
また、これは教科会や学年会、もしくは今夏の研修会などでこうしたことを考える機会を設けるとよいと思う記事もありました。「博士の愛した数式」という映画から始まるこの記事は、自分の授業を考え直すために3つの質問を設けています(p.16)。

1.先生の実践を一つだけ聞きたい、と言われたらどの授業の話をしてくれますか?
2.先生の教え子たちに、「○○先生の授業で、いい意味で印象に残っている授業は何ですか?」と聞いたら、生徒は何と答えると思いますか?
3.退職を迎えたとき、最後の授業としてどんな授業をしたいですか?

これら質問は、自分の授業を意識化する上で面白い質問だと思います。もちろん、日常の授業において、映画にでてくるような授業を毎回行うことは現実的ではないでしょう。ただ、一年を振り返った時、こうした質問に答えられる授業を意識的に作ってみようと考えることは、授業の質を高める上で効果的ではないかと思います。

【家庭学習】
最後に、4月中に習慣化しておきたいことが「家庭学習の記録」という冊子づくりとその定着です。
家庭学習に関する記録を取っている学校は増えていますが、ここではそのポイントを確認しておきましょう(pp.18-19)。

一つ目は、冊子にするということです。プリントなどではなく、冊子とすることで「積み重ねの実感」を喚起できます。こうした物理的な仕掛けが意外に重要だったりします。
二つ目は、簡単に記録できるということです。教科別の家庭学習時間数に加えて、課外出席科目や起床・帰宅・就寝時間、読書・テレビ・娯楽時間などフォーマットを作っておき数字のみを記録させることで、記録もチェックも簡便になります。なお、ここには生徒と担任がコメントを書ける欄も設けておく必要があります。
三つ目は、フィードバックの仕方です。例えば、部活に忙しく勉強時間が少ない生徒にはどうコメントを返せばよいでしょうか。記事では、実際にその生徒の練習風景を観察したうえでコメントを返していました。つまり、「家庭学習をすることが難しい事情を、時間をとって直接に見ているよ」ということを示したうえでコメントしています。また、急に勉強時間数が減った生徒には、「どうですか最近?」と気にかけていることを示すコメントを返しています。

最後に、「生徒が寝られない裏ワザ100連発」(pp.44-46)というものありました。「お笑い系5」「声や音での刺激系9」「体への刺激系13」「気分転換系13」「ペナルティ系7」「ごほうび系2」「あきらめ系4」と実際には53個しかありませんが、ブレーンストーミングのようにしてこうしたアイディアを出し合っていくと言う機会を設けてもよいかもしれませんね。

http://www.amazon.co.jp/月刊-ホームルーム-2007年-02月号-雑誌/dp/B000LXS5O4/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1366598386&sr=8-1&keywords=月刊ホームルーム+2007年2月

大学 学びのことはじめ

「大学 学びのことはじめ 初年次セミナーワークブック」です。

オフィスアワーの研究室訪問の仕方やノートの取り方(中高までの板書を書き写すことを中心とするノートづくりとどう違うのかがポイントです。)といった、学生の基本的スキルも役立ちますが、一番はリサーチスキルを紹介している箇所だと思います。
テーマの設定方法から情報活用の方法は、基本的なことですが、実は社会人の基本的スキルでもあると思うためです。

相手、例えば就職面接の採用担当者や商談先、にとって既知であることを示しつつ、そこに異なる視点や情報を入れることで驚きを与える。これが、相手に「しっかりと準備し、こちらを理解しようとする努力をし、かつ論理性や視点に評価すべきものがある」と感じさせる上で必要なスキルなのだと思います。
これを、相手との状況に応じた会話の中で行っていく、というスキルも必要なのだと思いますが、いずれにせよ、実は大学の授業で必要とされるこうしたスキルが、社会人になっても必要とされるのではないかと思います。

少し、話が就職活動の方に行きすぎましたが、大学一回生、一回生を担当する大学関係者、大学へ送り出す高校の先生方にとっても面白い一冊だと思います。

http://www.amazon.co.jp/大学-学びのことはじめ―初年次セミナーワークブック-佐藤-智明/dp/477950516X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1365390104&sr=8-1&keywords=大学 学びのことはじめ

担任学

ありそうで中々ないのが「担任学」ではないでしょうか。
教職課程の中にこうした科目を見つけることは難しく、
「実地で学べ」という感じになっています。

教育実習で見るのは、沖縄への修学旅行に例えればビーチを見ただけで、担任という業務に関わる中で本当に学んでおかなければいけないことは教職についてから、ということになります。

しかし、初任者として行った学校で、担任として必要なことを学べる環境があるとは限りません。担任として成長するためには、
体系知とメンター、学習する組織風土、時間を含めた物的環境が必要となると思います。これらが整備されるには、今日の学校現場は忙しすぎます。中には、中堅の先生が居ないので、とにかく一年目から担任を任される、というケースも少なくありません。

そうした中で、当初の予定どおりには動かない子どもや、保護者の過大な要求に心身ともに疲れてしまい、そうした状況に追いやった先輩や学校を愚痴りつつ、すねてしまう新任の先生もいらっしゃるかもしれません。

「教師の専門性を高める担任学」という本では、アメリカのカーネギー財団のもとで組織された「全米教職員専門基準委員会」が発表した「教職専門性の基準大綱」が紹介されています(pp.48-49)。
これは、1983年に発表された「危機に立つ国家」を機としたトップダウンの教育改革を第一の波とすれば、それに応答するボトムアップの第二の波と言われます。
この大綱では、
命題1 教師は、生徒たちと彼らの学習を委託されている。
命題2 教師は教科内容と教科の教育方法を知っている。
命題3 教師は生徒の学習の経営と助言に責任を負っている。
命題4 教師は自身の実践を系統的に思案し経験から学ぶ
命題5 教師は学習共同体のメンバーである。
ということが示されています。

もし、「担任学」が教育現場でしか学べないものであるとすれば、命題4と命題5で示されているように、体験からいかに学ぶかということがもっと重視される必要があるのではないでしょうか。
そのための取り組みの一つが、この本の半分を占める教育実践記録を書くということでしょう。新年度を迎えるに当たり、これまでの一年の実践を振り返り書く。
この「書く」という行為が、「実践の中の知」を意識化するのだと思います。そして、言語化された実践を資源として、学習共同体における学びが促進されるのだと思います。

「担任力をどのように高めるか」について、色々な学校での取り組みを伺いたいですね。

http://www.amazon.co.jp/教師の専門性を高める担任学-教師教育学シリーズ-唐沢-勇/dp/4761904364/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1365040899&sr=8-1&keywords=教師の専門性を高める担任学

教室ファシリテーション 10のアイテム

あなたは結婚式に参加したいですか?それともお葬式に参加したいですか?、といういささか不謹慎なたとえ話から始まる本があります。
実は、これは授業のたとえ話です。
結婚式は、たとえ義理で出席したとしても、円卓を囲んで談笑できます。一方で、お葬式はただじっとしていなければなりません。このお葬式が一斉授業だというのです。

筆者は自身の失敗体験をもとに、関わり合いの中から生徒が学ぶ手法について紹介していきます。

例えば、お互いの話をしっかり聴くペア・インタビューは、お互いが「聴いたら聴いてもらえる」という信頼関係を築き、かつ見知らぬ相手のことをよく知ることができる、知ってもらえるという点で、年度当初に適した活動であると言います。

また、ディスカッションのセッションでは、「決めることが優先され、そのプロセスがないがしろにされる」ことを避けるために、まずペアでディスカッションをするのが良い、と助言します。

また、参加者のネットワークを築きつつ、場の一体感を高める効果のある「ワールド・カフェ」というやり方も紹介されています。

新年度に担任をされる先生であれば、ちょっとやってみようかなというヒントの得られる一冊です。

http://www.amazon.co.jp/教室ファシリテーション-10のアイテム・100のステップ―授業への参加意欲が劇的に高まる110のメソッド-堀-裕嗣/dp/4761918845/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1364279925&sr=8-1

学級経営 10の原理

堀裕嗣「学級経営10の原理 100の原則」

冒頭の「非凡な教師は、平凡なことを徹底し、その上で非凡なことに取り組んでいる」
若手教師だけでなく、「若さで乗り切ることに限界を感じ始めている中堅教師に、生徒がわからなくなったと嘆いているベテラン教師に」も向けて書かれているということで期待して読み始めたのですが、「原理」というだけあって、あまり驚きはありませんでした。

おそらく、こうした「原理」を徹底して身体化し、どのような状況であっても対応できるようになることが必要なのであり、その対応の過程に、その先生の生きてきた過程、すなわち個性が発揮されるのだと思います。

原理はあくまで原理であり、原理を知ることや法則化することは理解を助けはしますが、マニュアル化とは異なります。
教育をサービスと捉えることには語弊が生じますが、生産と消費が同時に行われる産業形態をサービスと理解すれば、マニュアルを踏まえたうえで、瞬時に適した対応ができる能力が必要になるのでしょう。それは、マニュアルでは書ききれません。

しかし、その個々の対応が組織として一定の方向に向いていることも重要になります。それを束ねる価値観をクレド(信条)としてまとめたり、ビジョンを構築し共有する場を持ったりすることも必要になるのでしょう。

加えて、教育という営みであることを考えますと、その対応が将来的にどのような影響を及ぼすのかという見通しや、他の児童生徒にどのような影響を及ぼすのかという広い視野が必要とされます。そこに、「経験」の価値が生まれるのだと思いますが、この「経験」は「省察」という作業をもって、糠床を毎日こねるように日々「学び」につなげなければ使えないものなのでしょう。


より具体的な手法が知りたい、ということであれば、同じ著者による「教室ファシリテーション 10のアイテム 100のステップ」が参考になりそうですので、またご紹介できればと思います。

【学級をマネジメントする10の原理】
・一時一事
・全体指導
・具体作業
・定着確認
・具体描写
・時間指定
・即時対応
・素行評価
・一貫指導
・同一歩調

http://www.amazon.co.jp/学級経営10の原理・100の原則―困難な毎日を乗り切る110のメソッド-堀-裕嗣/dp/476191808X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1362620678&sr=8-1

生徒会コーチング

先週、生徒会を対象としたセッションの打ち合わせにある女子校に伺いました。
これは、関西でチームコーチングという手法を勉強されている方が、ボランティアで実施いただくというもので、通常は上場企業や大学職員、プロ野球チームなどで実施されています。

話を聞いていただいた先生は30代の先生で、来年に生徒部の部長になるということです。中高合わせて30人ほどの生徒会が活性化する上でとてもよさそうだということで前向きに検討いただきました。
最初に2日間のセッションを行い、「自分達に求められていることは何か」「生徒会のビジョンは何か」を話し合い、「現状はどうか」を確認することでモチベーションを高めます。
そのあと、1ヶ月ほどしてから進捗状況を確認し、またその後1ヶ月ほどして状況を確認し、チームとしての動きを作っていきます。

放課後補習でなかなか時間がとれないなど障害はありそうですが、学校として一つ上のステージに上がるためには必要となる取組だと思いますので、ぜひ実現いただければと思います。

大学授業がやってきた

桐光学園の本ですが、これは大学の先生が、しかも一流どころの、学校にやってきて行った講演を記録したものです。

たまたま学校に伺った際このお話になり、本を拝見したところその場で買い求めたもので、帰りの電車で興奮して読み進めました。最先端の研究をわかりやすく伝えられていて、そこに一流であることが感じられる本です。随所でその研究者が影響を受けた本や、その先生の書かれた本が紹介されており、おかげでアマゾンの出費がかさみました。

シリーズで5まででているのですが、個人的には最初の「大学授業がやってきた!知の冒険」が好きです。

単に大学の先生を呼ぶだけでなく、これを記録し、さらに一般書店に並べて学校の宣伝をしてしまうという一石三鳥の経営戦略にも脱帽です。

この手法は他の学校でも使えるかもしれません。一工夫加えるなら、講演録は生徒がグループになって分割して書き起こすとよいのかな、と思います。

http://www.amazon.co.jp/大学授業がやってきた-知の冒険-桐光学園特別授業-桐光学園/dp/4880652083/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1361414371&sr=1-1

保護者との関係

保護者を一緒に教育を行うパートナーとみるか、自分のやりたい教育を阻害するクレーマーとみるかで考えるべきことも代わってきますね。後者は教育をサービスと見る意識の副作用と言えるかもしれません。一緒に教育を行うパートナーを募集している、ということを伝えて理解を求めるプロセスが生徒募集活動なのかもしれません。

http://www.amazon.co.jp/月刊-ホームルーム-2009年-06月号-雑誌/dp/B0026IIXBM/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1358220284&sr=8-1

ホームルームづくり百科

「ホームルームづくり百科」(『月刊高校生』編集部・編1990)を少し読みました。
・クラス討議のしかた(p.90-)
・ホームルーム目標(p.96)
おもしろいのは、元国鉄職員の詩「便所掃除」(p.160)。
また機会があればご紹介したいですね。

「正直いって街で卒業生に出会うことが怖い。」という先生の話(p.218ー)は色々と考えさせられるテーマです。

「私のすすめるホームルームづくりのための5冊」(p.250-)は、合計25人が紹介しているので結構なボリュームですが、すべて読了してみたいものです。何人もの先生がそこで挙げていた
「学級集団づくり入門 第二版」(全生研常任委員会 明治図書) 現在の状況や文脈の中でどのようにその実践を継承し、発展するかを考えたいですね。

http://www.amazon.co.jp/ホームルームづくり百科-『月刊高校生』編集部/dp/4906277144